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数又 幸生; 岡安 悟; 加藤 輝雄
Physics and Materials Science of High Temperature Superconductors,II, p.595 - 608, 1992/00
焼結体YBaCuO(x=6.9,6.6,6.4)、LaSrCuO(x=0.5,0.15,0.25)及び単結晶LaSrCuO、LaCuOに電子線を210/cm照射し、照射による超電導特性の変化を調べた。電気伝導、直流及び交流磁化、磁気的臨界電流密度及び磁束の時間緩和の測定等から、照射効果を総合的に追求した。電気抵抗の測定から、照射による臨界温度の減少は、YBaCuO、x=6.9,6.6についてそれぞれ4K及び24Kであった。直流磁化は、x=6.9,6.6では照射による顕著な変化は観測されなかったが、x=6.4では磁化の温度変化が臨界温度付近で非常にゆるやかになった。臨界電流密度は、25K以下で1.2倍照射により増加した。磁束線ピン止めポテンシャルは、照射効果が低温で顕著であった。La系については、焼結体及び単結晶について磁束の時間緩和を詳細に調べ、磁束線ピン止め中心と臨界電流密度との相関性を論じた。
白石 健介; 伊藤 洋
High Temperature Superconductors, p.325 - 332, 1991/00
焼結した単相のBaYCuOペレットから切り出した試料をアルゴンイオンを照射し薄膜化した後、加速電圧200kVの電子顕微鏡を用いた電子線照射中に生じる組織の変化を連続的に直接観察した。イオンミーリングしたBaYCuO結晶では、間隔が1.17nmである(001)面の格子像に平行して、20~100nmの長さで、2~10nmの厚さの双晶薄片が観察される。また、この双晶薄片の周辺には、約10nmの大きさの欠陥集合体が優先的に生成している。通常の電子顕微鏡で組織を観察中に、欠陥集合体は徐々に大きくなり、双晶薄片は次第に消失する。これらの電子顕微鏡組織の変化は、BaYCuOペレットを電子線照射すると、電気抵抗が増加し、高電流密度で測定した超電導転移温度が上昇することとよく対応している。
中村 彰夫
Studies of High Temperature Superconductors; Advances in Research and Applications,Vol. 4, p.311 - 337, 1990/00
高温超電導体における電子対形成及び超電導への一つの新しい理論的アプローチとして、筆者が現在提案を行っている多重原子価共鳴凝縮モデルについて、詳細な解説と議論を行なった。酸化物高温超電導体とA-15型合金超電導体に主要な焦点を当て、まず本モデルの示唆する結晶分子内のミクロな化学共鳴が結晶全体に一、二、三次元的にコヒーレントに拡がった量子力学的共鳴凝縮状態が高温超電導状態であるとする考えが、実際の核種超電導体に良く当てはまる事を例証した。次に、この基礎の上に導かれた超電導転移温度Tの理論式が、酸化物超電導体系での酸素の同位体効果、従来の金属系超電導におけるTM/2=constantなる関係式(BCS limit)、PdH(D)系でのHD置換に伴う逆同位体効果等の、様々の同位体効果の挙動を矛盾なく系統的に説明し得る事を示した。今後の理論の展開の方向について、最後に又議論を行なった。